令和2年の竹田市議会第2回定例会は、複数の重要議案に関する審議が行われた。特に、荻町まちおこし有限会社が運営する「荻の里温泉」に関わる議案第61号の補正予算案についての議論が注目を集めた。
議案第61号に関して、当初の提案では3,300万円の増資が計画されていたが、議会内ではその額の妥当性が問われた。井英昭議員は、「今回の修正案は、観光事業の存在意義を明らかにする必要がある」と述べ、経営危機にある温泉施設の存続に貢献するための減額提案を行った。提案理由においては、経営状態を考慮し、短期借入金の返済分だけを認めるべきとの意見が強調された。
また、荻の里温泉の経営状況についても厳しい現実が明らかになった。施設は周囲の支持を受けて20年以上にわたりわれわれに親しまれていたという歴史がある。しかし、近年、熊本・大分地震や新型コロナウイルスの影響により、経営が赤字に転落している実情があるという。同施設の累積赤字額は5,400万円を超え、経営再建は急務である。
討論では、他の議員からも「荻の里温泉を存続させるためには、運転資金も必要である」と指摘があった一方で、風当たりの強い財政規律が厳守されなければならないとの意見もあり、議論は白熱した。賛成派の徳永信二議員は、議案に賛同した理由として、「荻の里温泉は地域の重要な資産であり、その存続が市民にとっても重要」と主張し、早急な対策の必要性を訴えた。
最終的に、議案第61号は原案通り可決されたが、将来的には、荻の里温泉の経営再建計画を早急に策定する必要があるとの意見が議会内で一致した。議会では、議会改革調査特別委員会において、今後の議会運営を見直す必要性が強調され、改革を推進する方針も確認された。竹田市にとって、厳しい財政状況下での自治体運営が求められている。