令和3年3月11日に開かれた令和3年3月定例会では、中津市の来年度予算や関連条例改正案が審議された。
注目すべきは、令和3年度における中津市一般会計予算だ。特に予算案第10号が主要な議題となり、様々な施策が市民生活に与える影響が議論された。議員の三上英範氏は「市民税が減少しているにもかかわらず、どのように予算が組まれたのか」と疑問を呈した。
財政課長の小川泰且氏は、市税の減少と交付税を反映した取り扱いを説明し、交付税や譲与税の不足に対しては基金の繰入れで対応していると強調した。この議論は、市の財政状況に大きな影響をもたらす重要なポイントであり、今後の財源確保への戦略が問われた。
また、介護保険事業についても重点的に取り上げられた。介護保険料の引き上げの理由として、要介護認定者の増加やサービスの質の維持が挙げられた。介護長寿課の今泉俊一課長は、基金の取り崩しを行いながら保険料の上昇を抑え、持続可能な運営を目指すと述べ、市民の納得を求めた。
加え、中津市国民健康保険税条例の一部改正により、「標準保険料率を増加させない」方針が示された。市民からは「健康保険料が高すぎる」との声も上がっているが、保険年金課の榎本常志課長は「医療費の増加を抑制するための対策である」とその正当性を説明した。
さらに、廃棄物問題に関する条例改正にも焦点が当てられ、清掃課の古梶和仁課長は、「ごみの有料化を進めなければ、今後のごみ減量社会は実現できない」とし、制度導入の必要性を訴えた。市の循環型社会の実現に向けた施策は、迅速に進めるべきであるという認識が示された。
これらの議論の中で、副市長の選任も行われ、「市長の補佐役として、市の政策に対し積極的に関与してもらうことが求められる」と総務部の黒永俊弘課長が期待を寄せた。
これらの質疑応答を通じ、市民の生活に直結する予算案や条例案には多くの課題が残ることが明らかになった。特に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、地域経済が厳しさを増す中で、市は柔軟な財政運営を求められている。