令和5年度の周南市議会定例会が開催され、重要な議题が取り上げられる中、市長の所信表明が注目を集めている。
市長の藤井律子氏は、人口減少を本市の最大の問題と位置付け、その解決に向けた施策展開を強調した。具体的な施策として、地域展開を意識した公立大学の役割強化や、地域の脱炭素推進に基づいた持続可能性の追求を挙げた。特に、これからの施策は「人口減少に抗う」ことを意識し、地域が変わっていける機会として捉える必要があるとした。
藤井市長は、昨年発表された将来推計人口に関して、今後の施策を見直す必要性を訴えた。国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、20年間で日本の総人口は約3割減少する見込みであり、将来的には全体の1割が外国人になると予測されている。これに対し、藤井氏は「ただ減少を抑えこむのではなく、新しい地域の魅力を喚起する施策が求められる」と指摘した。
また、子育て施策の進展についても市長は言及し、「こどもまんなか宣言」を掲げ、地域全体で子供たちを支える社会づくりを目指すと述べた。具体的には、経済的負担の緩和や結婚・出産・子育てに関連した伴走型支援の強化を行っていく方針を示した。子供の笑顔を地域の活力につなげるため、積極的な支援が行われる。
もう一つの重視事項は地域文化の維持・継承である。市長は文化の重要性を語り、「市民一人ひとりが創作者になることで町の文化を形成していくべき」と強調した。特に、地域の祭りや伝統行事の継承が危機に瀕している現状を鑑み、文化活動に対する支援と新たな創造性の芽生えを促す取り組みが必要であると述べた。
最後に、産業の進化やデジタル・AI技術の活用も施策として位置付けられている。市長は地域内での雇用創出に向け、企業と連携し産業力を強化することが重要だと述べ、地域の資源を活かしたビジネス環境の整備を計画中である。
これらの施策が効果を生むためには、議会と市民、企業が一体となった取り組みが求められる。市長は「2050年に向けて周南市を再生させる」というビジョンを掲げ、具体的な行動を起こす必要があると強調した。議会もこの目標を理解し、共に進む体制を整えていることが求められる。