令和5年8月21日、周南市議会は全員協議会を開催し、市民館跡地の利活用に関する基本的な方向性について議論した。
まず、藤井律子市長は市民館跡地における国の機関集約化の意義を強調した。市内に点在する国の機関が老朽化しているため、集約することで利用者の利便性が向上するとの見解を示した。市民館跡地は、将来的に公共的な用途を持つことを前提に、国の機関の集約先として最適とされている。
藤井市長は、国の施設を集約するにあたり、市役所関連の機関もその対象として検討していると述べた。特に、徳山年金事務所の移転を希望している件についても言及。現在、国の機関である徳山公共職業安定所や徳山税務署などが集約化される可能性がある。また、集約後の利便性向上を背景に、行政機能の強化を図ることを考えている。
次に、文化小ホールの新設についても具体的な提案が行われた。この新施設は、地域の文化活動を支える重要な要素と位置づけられ、特に地域文化の維持・継承に役立つとされている。藤井市長は、ここにホールを設置する理由として、文化活動の発表の場や交流の場を提供することで、地域のつながりを強化し、持続可能な社会への貢献を挙げた。特に、新南陽地区や周南市内には現存の文化施設との関係性も考慮する必要があると市長は警鐘を鳴らした。
友田秀明議員からは、駐車場の台数についての懸念が示され、特に行政窓口としてのものであれば、需要が高まることが予想されるためその対策が求められた。また、市民館跡地の利用計画の中で、こども施策も重要であることが再確認された。
質疑の中でも、国の立場が強調される中で、市民ホールの重要性と立地の利便性が相対化されたことが浮き彫りになった。議員たちは市民ニーズを重視しつつ、文化の充実を取るべきではないという意識がみえる。国の機関との兼ね合いの中で市民の声を反映した取組が求められるとの意見も挙がった。
この協議を経て、市民館跡地の利活用に向けた計画はより具体化する見通しとなっているが、議論はまだ始まったばかりであり、今後市民との対話も重要なファクターとなると思われる。藤井市長は市民や議会、そして有識者からの意見をしっかりと反映していく方針を改めて示している。