令和6年6月に行われた那須塩原市議会の定例会において、長寿の湯の運営終了に関する議論が活発に行われた。議員たちは長寿の湯を地域の福祉施設として存続させるべきだと口を揃え、利用者数やその意義について多くの意見が交わされた。市が示した運営終了の理由は、長寿の湯が開業以来、累積約5億7,000万円の赤字を抱えていることだ。市民からの反対意見も多く寄せられている中、長寿の湯は今後の市の福祉施策と深く関連している。そのため、議員たちは健康長寿センターとしての役割を果たすための新しい活用方法を模索している。
市は、健康長寿センター長寿の湯について、直近の利用状況を報告し、令和5年度には10万人以上の利用者があったことを強調した。多くの市民が長寿の湯の価値を認識し、撤回を望んでいるという声が大きくなりつつある。この点について、議会では「単なる経済指標で運営を判断するのはどうか」といった意見が出され、運営方針についての再考を促す声も多数見られた。
次に進んだ公民館の使用料改定に関する議論では、公民館は地域住民の知識の拠点であり、文化活動の中心ともなるべき施設であるため、利用料を原則無料にするべきだとの意見も出た。改定案では、これまで無料で利用できていた公民館の料金を有料化することで、利用者数の減少を懸念する声が多かった。市は、利用者の公平性を確保しつつ、持続可能な運営を目指しているが、その一方で市民の意見が反映されることが重要であると強調している。
さらに、国立公園を利用した誘客に関する質問もあり、日光国立公園内の様々な誘客施策が報告された。特に木の俣園地については、夏場の利用状況が非常に好調である一方で、利用マナーの問題も指摘された。今後は市総体として、地域の環境を保全しつつ、訪れた方々に充実した自然体験を提供し、さらに多くの観光客を呼び込む努力が求められているといえる。
今回の定例会は、地域の福祉施策や市民が納得できる形での公民館、有効活用のあり方についての意見が交わされ、長寿の湯の利用促進に向けた対策が市議会内でも話題になった。市民の意見を大切にしつつ、その上で如何に公共サービスを持続可能にしていくか、様々な視点で議論が進むことが期待される。