那須塩原市議会は、令和5年9月定例会議を開催し、持続可能な観光行政の推進やAED設置環境の整備に関する議論が交わされた。特に今夏、多くの観光客が訪れた木の俣園地において、近年の利用状況の増加が報告された。市長の渡辺美知太郎は、令和4年度の利用台数は8,407台であったが、令和5年度にはその数が15,177台に達したことを明らかにした。こうした増加は天候による影響や活動の多様化によるもので、特に好天が訪れた夏休みの土日には多くの人が訪れたことが要因であるとされている。
しかし、木の俣園地における課題は渋滞であり、週末には入庫時に長時間の待機を余儀なくされることがあった。その対策として、駐車場の料金徴収を機械化し、時間帯別に利用状況を公開することで、来訪者が混雑を避けやすくなる施策を検討している。そして今後は、地域住民にも迂回を促し、混雑緩和に取り組む意向が述べられた。
観光分野においては、インバウンドの現状が紹介され、令和元年度の宿泊者数は一時的に減少したが、アジア圏からの訪問者が増加していると報告された。特に台湾、中国、タイなどからの外国人観光客の増加が期待されるが、地方での消費活動は少なく、今後は自然体験アクティビティなど、地域特有のコンテンツを充実させ、受け入れ体制を整える必要がある。海外旅行者のニーズに対応しながら、地元の魅力を発信し続けることが求められている。
さらに、法定外目的税導入の検討が進んでおり、全国の状況を踏まえつつ、観光による収入の確保をめざしている。新たな税の導入に際しては、その目的や使途を明確にし、事業者との意見交換を重視している。また、観光行政を進める中での課題として、地域住民や観光業者との共通の理解を築くことが挙げられた。
ことばの教室についても言及され、支援が必要な児童に対する言語聴覚士の配置は現時点では難しいが、ウェブ相談やケース会議を通じて専門家の知見を活用していることが強調された。教員不足の現状に対し、国や県と連携し、専門的なスキルを持つ支援者がいることで、子供一人ひとりのニーズに応える支援が期待されている。
このように、自身の持つ観光資源の活用や教育現場の支援体制が整備されつつある中で、那須塩原市の観光行政や教育支援の充実が図られ、未来へ向けた取り組みが進められている。