令和3年9月の那須塩原市議会定例会議が開催され、主要なテーマが取り上げられた。中でも注目を浴びたのは、ケアラー支援や避難行動要支援者の避難体制、さらには農業用ため池の防災対策である。
まず、ケアラー支援について、林美幸議員(那須塩原クラブ)は、地域で無償の介護を行うケアラーへの支援の重要性を訴えた。高齢化社会に伴い、在宅での介護が必要な家庭が増えている中、ケアラーへの実態調査や支援策の強化が求められると述べた。保健福祉部長の鹿野伸二氏は、地域におけるケアラーの支援拠点の強化や、相談窓口の開設が計画されていることを報告し、さらなる啓発が必要であると強調した。
次に、避難行動要支援者の避難体制整備が議論された。林美幸議員が、地域の自主防災組織の現状と課題を指摘し、特に高齢化や人口減少による運営の困難さを挙げた。総務部長の小出浩美氏は、自主防災組織の結成率が56.7%であると述べ、未結成自治会に対する説明会の実施を検討していると応じた。このような地域防災の強化は、災害発生時に特に重要であるとの認識が示された。
さらに、農業用ため池の防災対策も取り上げられた。三本木直人議員は、農業用ため池の管理について質問し、産業観光部長の冨山芳男氏は、県が防災重点農業用ため池を再選定し、ハザードマップを公表した経緯を説明した。これにより、地域住民が迅速に避難できるような対策が実施されることが必要であるとの意見が交わされた。
会議全体を通じて、地域住民の安全と福祉を守るため、具体的な取り組みを進める必要性が強調された。多くの市民が参加し、傍聴している中で、それぞれの議員が地域の課題解決に向けて意見を交わし、有意義な議論が展開されたと評価されている。