令和6年6月10日、那須塩原市議会の定例会議が開かれ、多くの議員が公共施設や市の運営に関する質問を行った。
特に健康長寿センター「長寿の湯」に関する議論が注目された。中村芳隆議員は同施設の管理運営を市が撤廃する方針に異を唱え、多くの市民がこの温泉を利用している点を指摘した。市長の渡辺美知太郎氏は、収支が厳しい状況であり、運営終了を決定した背景には経営効率の向上が必要であるとの認識を示した。
長寿の湯は毎年約10万人が利用しており、現在運営されている温泉の中で最も利用者が多い施設である。しかし、維持管理が困難で、5億7,000万円の赤字が出ているとのことで、収支改善策が必要との意見もあった。そこで、副市長の渡邉和明氏は、サウンディング型市場調査を実施し、民間事業者の提案を受け入れる可能性を柔軟に検討していると発表した。
また、鈴木伸彦議員は公共施設建設に関連した質問を行い、合併後の地域バランスや市内の施設に関わる財政面についても触れた。彼は、各地域での人口推移を分析しながら、今後の整備計画における公平性を求めた。この議論には、市民生活部や総務部からの回答があり、今後も地域の持続可能な発展に取り組む方針が示された。
さらに、那須高林産業団地に関する問題も提起された。立地企業に対する損害賠償が発生していることを受け、産業観光部長は成分分析調査を進めている状況を説明し、今後の回収方針についても意見を表明した。
他にも、市有施設における蛍光灯の製造禁止に関する質問では、総務部長がLED照明への転換が進んでいると述べ、令和7年以降の対応に対しても前向きな姿勢を示した。課題と対策が多岐にわたるなか、議会は市民の意見を反映させることが急務であるとする共通認識が浮かび上がった。
議会の中で様々な意見が交わされたが、それぞれが市民のために公正で持続可能な施策を求める姿勢を示していた。今後の市の運営がどのように進展していくのか、多くの市民が注視している。