令和3年3月の函南町議会では、多くの重要な議題が審議された。
特に注目されたのは、令和3年度予算に関する議案である。議案第19号の一般会計予算は、歳入歳出110億2,500万円の規模で、前年度比1.7%の減となる見込みであることが報告された。歳入の内訳では、自主財源が減少し、依存財源が増加していることが特徴である。
総務建設委員会の杉村清委員長は、「歳出では復旧費用の減少が影響し、また新型コロナウイルスの影響が予算編成に反映されている」と述べた。その一方で、教育政策や地域振興といった施策が継続されることも強調された。
議案第2号では、函南町議会議員及び函南町長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の制定が報告され、これについては賛成意見が多数を占め、速やかに可決された。
また、文教厚生委員会からは、令和3年度の介護保険事業計画のあり方について報告があり、高齢者の生活支援に向けた施策が重要であるとされ、出席した議員からはその必要性を訴える声が上がった。
議案第32号として国民健康保険条例の改正も提案され、新型コロナウイルスに関連する改正が盛り込まれた。町長の仁科喜世志氏は、「町民の健康を守るため必要な措置」として、本条例の重要性を訴えた。また、予算の中には地方公共団体が新型コロナウイルスワクチン接種を円滑に進めるための予算も含まれ、行政の柔軟な対応が求められている。
さらに、農業集落排水事業やメガソーラー建設計画についても審議され、特に町民からの反対意見が多く寄せられているメガソーラー計画については、地元意見を重視した対応が必要であるとの認識が共有された。そのため、町議会では意見書を通じて、県知事に適切な知事意見を付することを求める方針が確認された。
このような多岐にわたる議題が審議される中、函南町議会は、町民の意向を尊重しつつ、今後の施策推進に向けた協議を続けていくことを明言した。特に、予算編成や社会福祉関連の見直しなど、現状に即した対応が求められることが繰り返し強調された。今後とも、町民との双方向のコミュニケーションを重視した議会運営が求められるとともに、地域が抱える課題解決に向けた取り組みを一層推進することが期待される。