令和6年3月1日に開催された富士宮市議会の定例会では、市長の施政方針に対する代表質問が行われた。
主に注目を集めたのは、物価高騰や災害対策、地域の経済成長に関する質問の数々である。特に、能登半島地震の被災者への支援策について、佐野和彦議員(富岳会)は、「現在の支援や職員派遣のほかにどのような協力を考えているのか」と市の姿勢を問うた。
須藤秀忠市長は、物的支援を通じて「最大限の協力をしていく」とし、長期に亘る支援の重要性を強調した。さらに、富士山の噴火についても深掘りされた。市長は、噴火の範囲が多岐に渡る点を示し、「適切な避難行動を促せるよう、避難行動マップを配布する予定」と述べ、具体的な対策を講じる意向を示した。
また、風水害に対する防災マップの重要性も取り上げられ、都市整備部長の湯澤智氏は、土砂災害警戒区域への対策として、「国土交通省や静岡県と連携し、着実な事業促進を図ることが必要」と述べた。市民の安全を確保するために引き続き、さまざまな取り組みを続けていく方針である。
経済面においては、市の景気動向についての意見が交わされた。佐野議員は「経済の先行きが良いと言われるが、実感できない」と訴え、市の実状に即した具体的な施策を求めた。須藤市長は、企業の賃上げの実態を示しながら、「経済成長のためには雇用環境の改善も急務」と言及した。
さらに、「2024年問題」に伴う人手不足の影響についても議論され、深谷一彦産業振興部長は、今後の施策として「働き方改革を通じて生産性の向上を図る」と述べ、市内企業との連携による対策の強化を目指すとした。
加えて、重点施策として地域の観光誘致についても話題に上る。「恵み豊かな未来づくり」の具体化を目指し、遊歩道整備や観光バスの乗降場所の見直しといった施策も提案された。佐野議員は、「人通りが増えなければ活性化は難しい」と警鐘を鳴らし、観光資源の再評価とその活用方法について意見を述べた。
今後、富士宮市はこれらの議論を踏まえ、施政方針の具体化を進め、地域の安全と発展を同時に追求していく必要があるとの見解が示された。市民生活の安定を守り、観光や経済成長を促進するための施策が急務であり、議員と市長との間で戦略的な意見交換が続くものと思われる。