令和2年6月、富士宮市議会は定例会を開催し、新型コロナウイルス感染症の影響に対処するための新たな施策や対策について議論が行われた。
最初に、新型コロナウイルスの影響に関連して、富士宮市では市民の生活と経済、特に医療現場における厳しい状況が浮き彫りになった。市立病院においては、4月と5月は感染対策の影響で外来・入院患者数がともに減少し、医業収支はマイナスを余儀なくされたが、4月時点では前年度と比較して改善傾向にあったものの、緊急事態宣言の発令による影響が今後の収支見通しに影響を与える可能性があることが示された。
標準的な医療を提供するためには、医師数の確保が不可欠であり、整形外科や泌尿器科などの専門医師が不足している状況である。このため市は、医療従事者を確保するための取り組みを加速する必要があり、患者への信頼回復を図ることが重要だとされた。また、遠隔診療の導入も進められており、患者の安全を確保しつつ医療サービスを提供する新たな試みが求められる。
次に、避難所運営についても議論の焦点となった。特に感染症の流行を考慮した避難所の設営や、避難者に対する感染防止策の徹底が求められた。例えば、受付時の健康状態チェックや避難スペースでの距離確保、十分な衛生環境の維持が重要視されている。避難所の数や収容人数が限られる中で、物理的な間隔を保つことが求められ、感染症対策が新しい生活様式と密接に関係していることが強調された。
さらに、地域循環共生圏の推進についても話し合われ、持続可能な地域の発展に向けて市民が自発的に参加できる環境づくりが模索されている。具体的な施策としては、地域資源を活かした新たなビジネス創出や、地域内での情報共有の重要性が指摘された。
加えて、財政状況の厳しさが懸念され、歳入減少に対する対応策が必要であると認識されている。国や県の補助金を最大限に活用し、市の財政調整基金を適切に管理することで、短期的な経済支援を図ることが求められている。これらの議論を通じて、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた施策の見直しや新たな方向性について、市としてどのような対応を取るかが重要なテーマとなった。