令和3年6月10日に開催された九重町議会では、重要な議題が取り上げられた。特に、コロナワクチン接種の進捗やその課題、地域の健康寿命を延ばす取り組みが議論された。
議会では、まず野上香代子議員がコロナワクチンの接種状況を質問した。九重町健康福祉課長の竹尾孝一君によると、町の65歳以上の高齢者約4,100名に対し、接種希望者は3,607名で、1回目の接種率は約67%に達しているという。これは、他地域の混乱に対する九重町のスムーズな対応が評価される一方で、今後の個別接種に向けても準備が進められている様子が伺われた。
次に、コロナ感染による人権の問題についても意見が交わされた。特に、新型コロナウイルスの影響による偏見や差別の相談窓口が設置され、現在まで相談件数はないと報告。これは、九重町のコミュニティがしっかりと機能している証左と受け止められ、一方で地道な啓発活動が重要であることが強調された。
また、地域公共交通についても質疑が多く寄せられた。町ではコミュニティバスの運行状況を見直し、利用促進策を講じているが、利用者数は減少傾向にある。現状のデータによると、コミュニティバスの利用者は年間で約28,000人に達しているが、前年と比較すると6,000人以上の減少が見られる。岩尾茂樹議員が指摘するように、この減少には大分県内全体の交通の影響やコロナ禍の影響があると思われるが、具体的な対策が求められている。
さらに、九重町の農業振興策も注目された。ファーマーズスクールの卒業生が地域に定住し、実績を上げている一方で、その数はまだ限定的である。農業従事者の高齢化が進む中、より多くの新規就農者を促す政策が期待される。そこで、町長は今後も新規就農者に向けた支援策を模索する考えを示した。
最後に、地域の住民支援策として、飯田高原福祉サービスセンターの存続が求められている。多くの高齢者や要支援者が参加するこのサービスは、町民の生活の質に大きく関わっているため、その存続が必要であるとの意見が多く寄せられた。特に移動調整や支援のための必要な体制構築も必要とされている。
このように、九重町議会では、コロナの影響を受けつつも地域の活性化や住民支援策が重視される中、具体的な施策についての意見交換が行われた。今後の取り組みに注目が集まる。