令和2年12月17日、胎内市議会は第4回定例会を開催し、特に熊や有害鳥獣対策に関する質問に焦点が当てられた。近年、市内では有害鳥獣の出没が頻発し、特に熊による人身被害や農作物被害が深刻化している。
市長の井畑明彦氏は、市内での熊の目撃情報の多い場所として、宮久、須巻、坪穴、下館、塩沢、夏井、半山集落付近が挙げられたと述べた。捕獲頭数は今年33頭であり、新潟フルーツパークでの農作物被害が約37万円に上ったことも報告された。井畑市長は、熊出没を防ぐために「人里に熊を近づけない」ことが重要であると強調し、特に不要な果実を処理することが効果的であると述べた。
さらに、熊の生息域拡大の背景には、過疎化や農業形態の変化が挙げられ、これにより荒廃した森林や耕作放棄地が増加していることが判明した。市は、里山の整備や間伐作業を通じて人里と熊の生息域の間に緩衝帯を設ける必要があるとし、地域ぐるみでの取組が不可欠であると強調した。また、今後の里山整備については、森林環境譲与税の活用が難しいものの、新たな財源の見直しや国との連携を模索する考えを示した。
また、新型コロナウイルスに関する質問も多く寄せられた。教育長の中澤毅氏は、感染者が確認された際の対応について、県の基準に従い迅速に対応することを明言し、差別やいじめの防止に向けての指導強化を述べた。今後も、インフルエンザ等との同時感染に備え、予防対策を徹底する方針も示された。
特に、公共事業においても、税収減少の影響を踏まえつつ、できる限りの事業継続が求められるとの意見も寄せられ、慎重な運営が期待されている。市としても、戦略的な予算配分を通じて、必要な施策を実行に移し、市民の安全を確保する姿勢を示している。