令和2年第1回綾町議会では、新年度予算案が提案された。町の財政状況が厳しい中、財布のひもを緩められない状況が続くとされ、松浦光宏議員が新年度予算に対する町長の重点を質す場面があった。町長の籾田学氏は、「財政面の見直しが求められる中、町民の意見を反映した予算編成を行った」と述べた。
また、この予算案には観光事業の活性化や新規事業である「観光まちづくり専門家招へい事業」などが含まれ、地域振興に向けた取り組みが強調された。松浦議員が「新規事業には予算が盛り込まれたが、今後の運営状況はどうなるのか」と再質問すると、町長は「本年度は新年度の予算でそこを見据えている」と強調した。
高齢者や就学児の支援施策も議題に上がった。町民生活課の森園由美子課長は「高齢者への支援が重要であり、移動販売車の導入や児童クラブの充実を目指す」と述べ、地域住民の孤立を防ぐ取り組みの一環として住民の見守り強化が必要であると指摘した。地域おこし協力隊の役割も重要で、より多くの若者に定住してもらうための支援を引き続き行うべきだとの意見も出た。
また、国民健康保険料や介護保険料の高さが住民の負担となっている点について、町長は「これらの料が高いという認識は共有しているが、行政としてどのように支援できるかは検討が必要だ」と応じた。町の予算が硬直化している状況を踏まえ、町長は職員の雇用形態を見直し、財政回復に向けた施策の必要性を訴えた。
新型コロナウイルスの影響についても言及があり、町長は「医療機関との連携を強化し、町民全体の安全を守るための施策を講じていく」とし、地域の防疫体制を強化する意向を示した。
その他、今後の水道施設の管路更新や公共施設活用についても議論が交わされ、地域おこし協力隊への支援を含む多角的な地域振興案が提案された。今後は地域のニーズに合った施策を進めていくことが求められ、役場の透明性や民間企業との協力体制の築き方が鍵となる。