令和2年3月10日に開催された令和第1回土佐市議会定例会では、重要な2つのテーマに関する議論が交わされた。議員たちは、健全な地域医療の確保と市の財政状況に関する現状と課題を深掘りし、特に介護職員の人材確保について懸念を表明した。
特に「土佐市特養とさの里の介護職員の確保について」の質疑では、造反の声が多く聞かれた。大森陽子議員は、介護職員の待遇に関する問題提起を行い、現在の状況がもたらす影響を強調した。特養施設では、定員の124床に対し、入所者数は117人に留まっており、10床ほどの空きが依然としてある。これは明らかに、職員確保の難しさを反映したものである。大森議員は「介護職員が不足することで、本来利用されるべきベッドが有効活用できていない。また、現行の賃金体系では職員が定着せず、新たな採用にも苦しんでいる」と訴えた。
板原市長は「介護職員確保のための施策には限界がある」としつつも、産業界の平均賃金には触れた。市長は、データを基に「給料表の見直しや賃金改善が必要である」と認め、福祉現場で働く職員への処遇改善措置についても検討する方針を示した。しかし、現実は「人材確保が容易でない全国的な傾向」との認識を持っている。
次に、「国保税の資産割を廃止することについて」も議論が持たれた。大森陽子議員は「資産を基にした課税は、経済的に弱い立場の人々にとって大きな負担となっている」と問題提起した。市の固定資産税の税率引き下げに関する公約が長らく実現されていないことを指摘し、「そのタイミングが今なのではないか」と強く主張した。市長は特に「中長期的な視点から考慮し、町全体の健全化のために慎重に判断したい」と依然として保留の姿勢を示した。
また、地域医療に関連して、村上信夫議員は「新公立病院改革プラン」を取り上げ、地域住民の医療ニーズに応えようとする姿勢を求めた。この議論の中でも「施設整備や医師確保が重要」との意見がかわされ、市全体としてこの問題に如何に対処すべきかが問われている。議会全体を通じて、地域医療の充実と人材確保が強く求められる声が相次いだ。
今回の定例会は、土佐市の抱える抱負な問題を深く話し合う場となった。議員の発言を通じて、地域の医療、福祉政策について必要な改善が求められていることが浮き彫りとなった。今後、市民の意見を聴き、必要な施策を確実に実行に移すことが求められそうである。