令和5年6月1日に実施された二戸市議会定例会では、教育政策と福祉対策についての重要な議論が交わされた。
まず、学校給食無償化について田口一男議員が提案した。現在、県内の多くの自治体で給食の無償化が進んでおり、完全無償化は全国で拡大している。
福岡工業高校と一戸高校の合併を控え、メシが払えないことから生徒の減少が予想される。
その中で、給食無償化は教育施策を充実させ、家庭の経済的負担を軽減する手段として重視されている。
また、田口議員は、学校給食の包括的な存在意義や福祉の観点からも必要性を訴え、市長にその実現へ向けた取り組みを求めた。
市長は、「国、県の動向を見守ってまいりたい」と述べつつ、給食無償化に向けた取り組みについて前向きな姿勢を示した。
次に、地元高校への給食配食が議題に上がった。議員は、学校給食センターの運営において、地域の高校生への食事提供を拡充することが重要であると述べた。
現在、小中学校への給食提供は継続されているが、高校生への配食は未だ実現できていない。
市長は、配食の実現には運営側の条件や手続きが多様で、十分な検討が必要であるとした一方、教育長は教務的課題として取り組む意向を示した。
今後、運営方法や生徒のニーズに合わせた施策について具体的な議論が期待される。
最後に、加齢者への補聴器購入補助についての議論も行われた。この問題は、認知症予防との関連性が深いとされ、高齢化社会において急務の対策となっている。市内ではすでに他の市町村で補聴器購入への助成が進んでおり、二戸市もこの流れに乗るべきとの意見が多く見られた。市長は、今後の研究成果や県の動向を見ながら、必要に応じて補助を検討していく旨を答弁した。
全体として、教育側面から福祉、さらには地域振興まで多岐にわたる議論が交わされ、多様なニーズに対応する施策の模索が見受けられた。議会での意見交換が今後の政策形成にどう生かされるか、関係者の期待が寄せられている。