阿久比町の令和5年3月定例会が開催され、初めての一般質問が行われた。議員からの質問を受け、町長の田中清高氏は新年度一般会計当初予算編成についての見解を述べた。
新年度の一般会計総額は103億500万円であり、前年と比較すると0.4%の減少に至った。減少の理由として、阿久比中学校校舎増築工事の終了と介護事業者に対する補助金減額が挙げられている。田中町長は、厳しい財政状況を踏まえ、法人町民税の減収が予測される中、予算編成の中で経費の見直し、事業の取捨選択を進めていると強調した。
国際情勢の影響により、町税等の歳入が厳しくなっており、町長は中長期的な視点から限られた財源を効果的に配分し、住民サービスの維持向上に努める旨を語った。
具体的には、今年度の予算において、子ども医療費助成の拡大や、阿久比駅周辺整備に向けた土地利用調査などを重点施策に位置付けている。さらに、町制施行70周年を記念した事業を通じて、"夢ある未来へのまちづくり"を目指す計画である。
また、町の財政状況についての質問では、財政調整基金の取り崩し状況や町債の発行状況についても詳しく説明された。田中町長は、健全な財政運営を維持するためには、地方債の発行を控えつつ、財政調整基金を効果的に活用する必要があると強調した。特に、新型コロナウイルス感染症や国際情勢の影響を考慮し、公共施設の老朽化や社会保障関連の経費増加に対応する必要性を指摘した。
さらに、子育て支援や福祉医療の増加に関する議論が深まった。子ども医療費では、通院分まで対象を拡大することにより、財政上の負担増加が見込まれている。徐々に進む高齢化社会における福祉医療への影響についても語られ、今後の施策を展開する重要性が浮き彫りとなった。
町長の田中氏は、地域が抱える現状や住民のニーズを把握し、効率的な支援体制を築くことを方針として掲げている。今後の地域活性化には、すべての世代が支え合える地域作りが求められ、住民との密接な連携が重要であると述べた。