甲斐市議会の令和3年第2回定例会が開催された。多くの議題が取り上げられ、その中でも注目される発言が相次いだ。
特に加藤敬徳議員は地域の環境問題として猫について質問を行い、ペットブームで増加した猫の飼い主のない猫の処分や、地域でのトラブルを避けるべく、甲斐市における過去5年間の猫に関する苦情件数のデータを示しながら市の対応策を要望した。市長の保坂武氏は、過去5年間で市民からの猫に関する苦情件数は83件あり、年々増加傾向にあると述べ、室内飼育の推奨や啓蒙活動を行っていく方針を示した。
次に若者の定着促進策として、奨学金返済支援の取組みが提案された。保坂市長は、国が推進するこの制度について、甲斐市も積極的に検討し、高校卒業後の移住者やUターン者の支援策として実施の検討を進める意向を示した。国の奨学金返済支援制度により、生活支援と同時に地域産業の担い手となる若者を育てる確かな基盤が求められる。
2050年カーボンニュートラルに向けた取組についても議論され、保坂市長は市の木質バイオマス発電事業が進捗していることを強調した。本市では、出発点として発電施設の建設を進め、公共施設への熱供給や地域農業の振興にも寄与したいと話した。また、地域の森林整備が進むことで、持続可能な社会を築く道筋も示された。
自治会に関する議題では、保坂氏は市内の自治会が136あり、加入率が80.39%であることを指摘した。最近の社会環境の変化に伴い、若者を中心に自治会加入が減少している現状を説明し、今後は自治会の重要性を広めるための情報発信強化を約束した。そして、災害時の対応についても議論が及び、未加入者への避難所の対応についても協力体制の重要性が強調された。
生理の貧困に関する問題についても質問があり、保坂氏は防災備蓄用の生理用品を生活困窮者に配付する方針を明確にした。女性への支援策の一環として、生理用品を含めた相談窓口の設置が求められる中、実施の可能性についての議論も進展している。
議会では多様性の尊重についても言及され、特にパートナーシップ制度導入の議論が進んだ。市長は、国と自治体の動向を注視しつつ、社会的少数者に関する理解を深めるための取り組みを続けることを表明した。今後は、高齢者や子ども、障がい者などの支援を円滑にするため、地域に密着した取組みが進められることが期待される。