令和5年6月23日に開催された大田原市議会定例会では、学校給食の無償化を巡る議論が盛り上がった。特に、結論を迫る秋山幸子議員(日本共産党)は、無償化が家庭や地域に与える影響について多くの質問を投げかけた。
まず、学校給食費の完全無償化は、2012年度から執行され、全国でも注目された政策である。この方針のもと、大田原市では、子供たちに食育を根付かせるための多角的な取り組みが進められてきた。しかし、近年の財政状況や物価の高騰が影響し、2021年以降は補助が50%に減少した。秋山議員は、無償化の継続を求めるとともに、「経済的な支援は多子世帯への助けになる」と訴えた。
教育部長である君島敬氏は、給食無償化の継続については慎重に検討する意向を示しつつ、「物価高騰や財政健全化を念頭においた上で、来年度からの施策を考えていく」と回答した。また、給食の質や安全性についても重視していると強調した。
さらに、秋山議員は学校給食費の無償化廃止の意見に対して、親たちの反応が冷ややかであることを指摘した上で、「教育の平等性が犠牲にされてはならない」と強調した。市の施策が他の自治体に広がっている現状も踏まえ、無償化政策の重要性を訴え続けた。
その後の議論は、財政健全化検証委員会に移行した。この委員会では、大田原市の各種補助金の継続や廃止を検討する中、体育協会などの一定の補助は継続する方針が示された。相馬憲一市長は、「予算編成には検証委員会の結果を生かし、次世代の財政健全化を図りつつ、市民の生活を守る施策を進めていく」と回答した。
最後のテーマでは、子ども・子育て関連の憲章や都市宣言についての提案があった。中川雅之議員は、独自に制定することが、より子育てに配慮した地域を築く要素になると述べた。それに対し、保健福祉部長は「啓発活動を通じて、市民への理解促進に努めていく」と述べたものの、憲章作成には消極的な姿勢を見せた。 報告に基づく以降の施策は、議会を通じて市民の声を反映させていく必要があると感じられる。これからの大田原市の政策が、どのように変わっていくのかには引き続き注目が集まる。