令和6年3月4日に開催された大田原市議会において、災害防止と低年齢化の進展を重視したさまざまな施策が論じられた。この中で特に強調されたのは、地域住民の避難行動と新たな支援体制の確立に関する事項である。
議員による質疑や市の答弁を通じて、指定避難所と避難場所の明確な区別がされていることが確認された。具体的には、指定避難所は学校や公民館である一方、指定緊急避難場所は市民が一時的に避難できる公園やグラウンドなどが含まれる。このため、市の避難計画は積極的に周知し、地域住民が自身の避難先をしっかりと把握できるよう努める必要があると述べられた。
また、特に高齢者や障害者への配慮が必要であり、普段の生活環境と異なる避難所においても彼らが安心して生活できる環境を整えることが求められている。具体的になすべき対策として、避難時のケアや地域住民との協力による支援体制の整備が挙げられた。更に、避難所における段差解消や洋式トイレの整備も重要視され、高齢者や障害者が容易にアクセスできる環境を整えることが急務であるとされている。
また、市からの支援物資や備蓄品の種類も多様化が求められる時代において、特に病院や大型店舗の駐車場を利用した避難場としての協定の締結が進められ、支援物資の備蓄状況についても与えられた。知識や技能の向上も重要であり、地域で行う防災訓練や講習会を通じて、市民の防災意識を高める取り組みが重要であると示された。
また、上下水道事業の耐震化進行状況や、今後の防災施策としての水道関係の相互応援体制についても議論された。特に、那須塩原市との水道相互利用や、近隣市町との連携による支援体制が重要視された。最近の能登半島地震においては専門的な職員の派遣が行われ、多くの知見を得たことから、今後への活用が期待される。この際、職員自身も被災者である事情から、報酬なしでも支え合う姿勢が不可欠とされ、職員の健康管理やカウンセリング体制の強化が求められた。
全体としてみると、地域住民が防災に積極的に参加し、共助の意識を強めておくことが将来の大規模災害発生時において、より効果的に対応ができる条件を整えていくことが示唆された。地域に根ざした安心安全な社会づくりが今後も必要とされている。