令和3年度の大田原市議会では、さまざまな重要なテーマに関する議論が行われた。特に注目されたのは水道事業の広域化や手話言語条例の制定など、公民にとっての基盤となる政策についてであった。
水道事業の広域化について、市長の津久井富雄氏は、事業の持続可能性を確保するために重要な施策であると強調した。人口減少により、給水収益の確保が困難になる中、事業の効率化を図るためには、近隣市町との統合や共同化が必須の課題である。津久井市長は、現在進行中の検討会において様々な意見交換が行われているとしつつも、具体的な広域化のスケジュールはまだ未定であるとの見解を示した。
これに関連して、職員の過重負担問題も浮上した。秋山幸子議員は、水道事業に従事する職員が削減される一方で業務量が増えている現状を指摘した。市長はこの問題に対し、民間委託を進め、限られた職員での業務を効率化していると説明した。加えて、災害時には地域の他事業体と連携し、緊急対応に備えていると強調した。
一方、手話言語条例についても議論が展開された。村越雄二保健福祉部長は、手話を利用する市民のコミュニケーション環境を改善するために、条例制定を進める必要性を認識しているものの、現時点では具体的な策が整っていない旨を伝えた。
加えて、地産地消の推進計画についても議論された。大豆生田春美議員は、市内の食材を活用したキャンペーン等、地域資源を生かした取組が必要との意見を述べ、さらに市独自の「地産地消の日」を設けることを提案した。市長は、県の定める地産地消の日に合わせて市の活動をＰＲしていく考えを示した。
議会でのこれらの議論は、市民の命に直結する事業の運営方法や地域の特性を生かした施策形成における重要な一歩である。市民の声を反映させる取り組みが今後も求められるだろう。