杵築市議会は、令和2年9月の定例会で市の財政状況や新型コロナウイルスに関する質問が相次いだ。議員は、緊急財政対策が市民に与える影響や、今後の観光振興策についても意見を交わした。
特に、財政状況において国からの交付金に依存してしまっている課題に焦点が当てられた。また平成30年度から令和元年度にかけて、総人口の推移が問題視され、特に若年層の流出が深刻化している点が指摘された。
加えて観光振興については、新たな施策として城下町観光の周辺誘致が進められており、昨年度の観光客数や消費額の増加を通じて地域経済の活性化を目指す方針が示された。具体的には、参加者から高評価を得る横岳自然公園の活用など、多様な観光素材が今後の推進策として挙げられた。
一方で、高齢化が進む大田・山香地区の人口減少問題にも抜本的な対応が求められ、議員は市長に対して、これらの地域振興の重要性を訴えた。このような観点からも、適切な施策を盛り込んだ第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進が強く期待されている。
一方、企業撤退に関する質問では、アムコー・テクノロジー・ジャパンの工場撤退が市に及ぼす影響が懸念されている中、現在のところ新規の企業誘致の動きがあることが伝えられた。市長はこの状況を前向きに捉え、今後とも迅速な対応を行う意向を示した。
また、イベント開催におけるガイドラインの策定が必要で、各種行事の開催状況を見ながら、新型コロナウイルス感染症に配慮した形での運営が求められている。市としては、そうした施策を推進しつつ、地域の文化や観光資源を生かし多様なイベントの実施に向けて、検討を重ねていくことが議論された。
最後に、議員たちは市外居住職員数について触れ、これらの職員が地域に戻るための施策が不十分である旨を指摘した。市長はその重要性を認識し、今後の検討課題として進めることを約束した。今後、杵築市は多面的な地域振興策を通じて、持続可能な地域づくりを継続していく必要があると考えられている。