令和6年6月14日に行われた杵築市議会の一般質問では、主に人口減少とその対策に関する議論が展開された。田原祐二議員は特に「消滅可能性自治体」の報告書を取り上げ、市の未来に対する危機感を表明した。彼によると、民間の人口戦略会議が発表したデータでは、杵築市が50%を超える若年女性人口の減少率を示したことに懸念を示した。
田原議員は、今後のまちづくりに向けた具体的な施策を問い、その一環として妊娠・出産時の支援や移住・定住施策についても言及した。中根達美企画財政課長は、子育て支援施策としての医療費の無償化や商品券の配布を挙げ、昨年度からこれらの施策を実施していることを説明した。
さらに、田原議員は医療介護サービスの供給不足についても懸念を示し、特に高齢化が進む中での人材確保が喫緊の課題であると指摘した。英哲郎医療介護連携課長は、地域での新たな担い手の確保や医療・介護体制の最適化が急務であると強調した。
また、教育分野においても、地域おこし協力隊の現状に関する質問があり、村おこしや移住拡大への取り組みとともに、地域での協力体制の強化が必要であるとの認識が示された。特に、協力隊が地域に溶け込むための支援や施策が求められている。
一方で、議論の中には書店の誘致に関する求めもあり、書店が存在しない杵築市において文化の発展を重視する姿勢が浮き彫りになった。市民生活に必要な文化の基盤を整えるため、書店の復活が期待されている。
さらに、災害への対応や地域活性化のための施策も話題に上がった。高齢者の移動手段を確保する取り組みや、災害時の体制強化策が特に重要視された。高齢者が安全に暮らせる地域づくりを進めるための考慮が求められている。
市はこれらの厳しい現状に対して、より多角的な取り組みを通じて、住民が安心して住み続けられるまちづくりを目指している。しかし、今後の課題は多く、具体的な施策の効果を実感できる形での実行が求められている。これを受け、本市の明るい未来に向けた具体的なビジョンの策定が急務であると考えられる。