令和3年6月定例会では、杵築市の持続可能な農業振興や農地の有効活用についての重要な議論が行われた。特に水田農業の現状と耕作放棄地の問題は市民からの関心が高い。
市の農業面積は約2,440ヘクタールで、うち耕作放棄地は879ヘクタールに達している。この状況に対し、矢守丈俊農林水産課長は、耕作放棄地を増やさないよう努めていると述べた。具体的には、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払制度を活用し、地元の農家との連携を強化する方針を明らかにした。
さらに、近年の高齢化と後継者不足は米の生産に悪影響を及ぼしており、取組として、米の他に高収益作物を導入し、経営の多様化を図ることが不可欠であるとの見解を示した。特に、東溝井や南俣などの集落では、長崎県産の「なつほのか」の導入を進め、高収益作物の割合を増やす努力を行っている。これに加え、市が農林業の需要に応じて新たな作物の生産を促進することも期待されている。
特に、ヒノヒカリ種の連作障害についても言及があり、農民からも懸念の声が上がっている。これに対しては定期的に品種を変える必要性を訴え、他地域と連携して新たな作物の導入計画を模索すべきとした。
災害時の備えについても、多くの意見が交換された。大塚茂治危機管理課長は、ハザードマップの周知や広報活動を通じて市民の意識を高めることが重要であると述べた。特に、避難所の運営や簡易トイレの使い方に関する講習が市民に向けて実施されるとのこと。安全で安心な避難体制の確立には、行政の周知徹底が求められている。
また、駅周辺の整備や交通インフラの強化も議論され、山間部や中心市街地へのアクセスの向上が求められる中で、人口増加へ向けた積極的な施策が必要とされている。市長は、地域の協力を受けながら、将来を見据えた街づくりに取り組む意欲を示した。
このように、杵築市における農業の持続可能性や防災対策、駅周辺の開発は、市民の生活を豊かにし、地域の活性化につながる重要なテーマであった。今後はより多くの市民参加を促し、地域の活性化を目指すことが求められる。