伊那市議会の定例会が令和4年6月15日に開催され、議員たちは様々な重要な議題について意見を交わした。
最も注目を集めたのは、ヤングケアラーの現状と課題に関するものである。伊藤のり子議員は、ヤングケアラーの状況を国道152号線の工事に関連づけながら質疑を行い、特に家庭内での負担を抱えている子どもたちの実態を明らかにした。教育長の笠原千俊氏は、調査を行う考えを示し、ヤングケアラーが何らかのサポートを受ける必要性を強調した。
国道152号線荒町工区の開発も重要な議題の一つであった。市長の白鳥孝氏は、工区の完成には時間がかかる見込みであるとしつつ、地域の声を聞きながら進めていくことの大切さを述べた。
また、移動支援事業に関する見直しも議論の中心となった。移動支援が必要だとする市民の声に対して、市の財政状況や運営の難しさを背景に、現状維持の方針を示した。
加えて、農振地域での土地利用の見直しについても取り上げられ、原一馬議員は、地域の特性を考慮した柔軟な土地利用の導入を提案した。市としては新たに適正な土地利用誘導地域を指定しており、より多くの住環境の整備を進めたい意向だという。
マイナンバーカードの普及促進についても言及があり、白鳥市長は、地域のデジタル化への取り組みを進める意向を示し、市民の利便性を高めるための具体策について説明した。特に、国の施策に基づく補助金を活用し、市民がマイナンバーカードの利用を実感できる環境を整えたいという姿勢を示した。
最後に、自転車通学区への無償スクールバスの導入についても質疑があり、高橋姿議員が運行時間やエリアの拡大を再度提案した。市長は、交通事業者との調整が必要との立場を崩さなかったが、今後も福祉の向上を目指して取り組む意義についての発言が相次いだ。
これらの議論は、伊那市が今後の住民の生活環境や福祉サービスの向上に向けて進むための材料となる重要なものとなった。