令和4年9月定例会では様々な重要な議題が話し合われ、特に注目を集めたのは分杭峠行きのシャトルバスの再開に関する質問である。
池上 謙議員は、「新型コロナウイルスの影響で運休していた分杭峠行きシャトルバスが本年4月から再開され、多くの訪問客が戻ってきている」と述べた。新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、観光地として再生への希望が見込まれている。
現時点で、シャトルバスの利用者数は8月末時点で16,530人に達したが、景気回復の兆しを感じる一方で、今後の利用者数の見込みについて質問がなされた。池上議員は、「今年度末までに約3万人程度の利用が見込まれる」との考えを示し、利用者の便宜性を求めた。
また、公共トイレの整備についても提起され、池上議員は「観光需要が増加する中、仮設トイレの数では不十分として新設を求める」と訴えた。白鳥 孝市長は、「現時点で訪問者数はまだ100人程度で、仮設トイレの増設などについては今後の状況を見て判断する」との見解を示した。
次に、戦没者追悼式に関する質問が行われた。特に、過去77年間にわたる戦争の記憶を風化させないため、どう後世に伝えていくかが焦点となった。池上議員は「今年度の戦没者追悼式の開催について、市がリーダーシップを取るべきである」との意見を述べた。白鳥市長は「遺族会の活動を支援しつつ、引き続き戦没者を顕彰することの重要性を挙げつつ、保護者との連携を強化する」と述べた。
また、給食のあり方についての意見も多く聞かれた。この議題では、地元産と多様な食材の使用が求められ、市が農業振興を図る具体的な方策に期待が寄せられている。市長は「新型コロナウイルスの影響で、給食の提供方法を見直す必要が生じており、地産地消の推進が今後の課題である」と話した。
さらに、帯状疱疹の予防対策の推進についても議論された。高齢者にとって深刻な健康問題である帯状疱疹のワクチン接種の助成に関して、市長は「定期接種化に向けた審議を注視するだけでなく、啓発活動は進めていきたい」と応じた。
今回の定例会では、地域の特性を活かした観光振興や、戦争の記憶の継承、教育環境の質向上など、伊那市が抱える様々な課題に対して真剣な議論が展開され、行政との連携がますます重要視されていることが強調された。