伊那市議会の令和3年3月の定例会が開会され、議論が開始された。今回の定例会では、地域の経済を支えるための各種予算案が中心に取り上げられた。
市長である白鳥孝氏は基調挨拶の中で、新型コロナウイルスの影響で力強い経済復活が求められる中、伊那市もその波に直面していると指摘した。市内の飲食業界が厳しい状況にあることを受け、共同で支援策を講じつつ市民の理解と協力を求めていく意向を示した。
その中で、特に注目されたのが、令和3年度の一般会計予算案である。この予算案は前年度比6.1%増の367億6,700万円となっており、昨年より増加した。増加の要因の一つは、約6億円を見込む新型コロナウイルス対策予算である。また、ふるさと寄附金の好調を受けたことから関連経費も増えたことが挙げられる。さらに、工事が計画されている新山保育園や若宮市営住宅、西春近公民館の建設プロジェクトも進行中で、これが予算増加に寄与している。
一方で、特に市税は大きな影響を受ける見込みで、個人市民税や固定資産税の減少が予想されている。また、長野県が独自の感染警戒レベルを引き下げる一方で、ワクチン接種が地域経済の復活に向けた重要な鍵であるとして、ワクチン接種体制も整備されつつあることが報告された。市では63歳以上の高齢者への優先接種が4月から開始される計画を立てている。
続いて、議案第1号から議案第24号までの予算案及び各種条例改正案が提案され、議論されることとなった。これには、辺地に係る総合整備計画や請負契約の変更、新型コロナウイルス感染症対策、及び農業や商工業の振興に関する予算案などが含まれ、さらなる地域活性化と住民生活の向上に向けた取り組みが期待されている。
最後に、白鳥市長はこの議会における議論が市民生活に直結する重要な機会であり、透明性をもって運営していく必要があるとも発言し、議員らの協力を呼びかけた。今後数週間にわたって、これらの議案が詳しく審議され、最終的な決定が行われることになる。