令和6年3月15日に開催された伊那市議会全員協議会では、子ども・子育て支援や地域活性化、公共交通の見直しなど、多岐にわたる議題が討議された。
特に、子ども・子育て支援強化のための組織再編についての議論が目を引いた。総務部長の伊藤博徳氏は、「国の動きにあわせて、伊那市の取り組みを細やかに推進するため、子ども相談室を中心とした新たな組織の設置を検討している」と述べた。これにより、妊産婦や子育て世帯への包括的な支援が一元化されることが期待される。新組織は令和7年4月を目指して設置される予定で、具体的なスケジュールも示された。
次に取り上げられたのは、地域活性化起業人の退任についてである。企画部長の飯島智氏は、富士通から出向していた志知貴文氏が任期満了で退任することを発表した。志知氏は「伊那市の持続可能な発展のために関わり続けたい」と語り、地域に対する愛着の深さを示した。これにより、地域の持続可能性を意識した活動の重要性が再確認された。
さらに、ぐるっとタクシーの運用見直しについても議論された。この公共交通サービスの一環として、利用者数の増加に伴い、運営の効率化や登録者数の増加が見込まれる中、最適運用に向けた課題が指摘された。企画部長の飯島氏は「乗合率が33.5%であることから、より利用しやすい仕組み作りを進める」と強調した。
また、自律型会話ロボットを用いたウェルビーイング実証事業についても言及された。これにより、地域住民の心の健康維持と孤立感の軽減が期待されており、参加者の積極的な関与が求められていることが表明された。
議論は伊那市総合計画後期基本計画の進捗状況にも及んだ。企画政策課長の織井邦明氏は、地域の未来を見据えた施策の内容を示し、市民参加の重要性を訴えた。これにより、持続可能な社会の構築に向けた具体的な道筋が示された。
これらの討議を通じて、伊那市が地域の声に耳を傾けながら、持続可能な発展を目指している姿勢が明らかになった。市民との連携強化や、実効性のある施策の推進が今後の課題となるだろう。また、各議題についての詳細な情報提供が求められる中、議会としての役割も重要視されている。