令和2年第3回肝付町議会臨時会が10月28日に開催され、新しい義務教育学校の設置についての議論が行われた。この臨時会では、肝付町立岸良小学校と岸良中学校を廃止し、岸良学園を設置する条例改正案が審議されるも、最終的には否決される結果となった。
議案第45号の提案理由について、教育総務課長の津曲元氏は「9年間の一貫教育を実現するため」と理由を説明した。それに対し、8番議員の中原稔氏は「義務教育学校の名称が学園になることに違和感を覚える」と異議を唱え、在校生や地元卒業生の声を代弁した。
中原議員は、岸良地区では教育の歴史的な背景があり、多くの卒業生がこの名称に不安を感じていると指摘。具体的には、義務教育学校が全て学園という名称になることに対し、在校生や卒業生の不快感が広がることを懸念した。また、会議では校歌や校章の継承に関する問題も取り上げられ、長い歴史を持つ校歌や校章が廃止されることに対しての反対の意見が多く呈された。
さらに議論は中学校問題調査協議会の設置についても触れられた。この協議会は町内の中学校の設置や規模について住民からの意見を集約する役割があり、地域の意見が十分に反映されていないのではないかとの声が上がった。中原氏は地域住民、特に卒業生の意見をもっと重要視する必要があると主張した。
結局、議案第45号は賛成者が3分の2に達しなかったため、否決。最後に、日程第46号の補正予算に関する議案は提案が取り下げられ、その後臨時会は閉会となった。このことからも、肝付町における教育改革の進展には慎重な判断が求められていることがうかがえる。これからの議論においては、地域の声が反映され、より良い教育環境が整備されることが期待される。