令和3年3月9日に行われた金沢市定例月議会では、様々な議題が討議され、新年度の予算案がメインのテーマとして採り上げられた。
市長の山野之義氏は、「未来を育み、持続可能な世界の交流拠点都市を目指す重点戦略予算」と銘打った新年度予算について語った。市は一般会計予算として1,782億1,000万円を計上し、前年度比で実質3.1％の増加を見込んでいるが、その背景には新型コロナウイルス感染症による厳しい影響がある。
市税収入が約57億円減少する見込みであり、この減少分をどう補填するかが課題となっている。そのため、予算編成では国からの交付金や基金の活用が重要な要素となっている。市長は「一刻も早い経済回復に努める」と強調し、支援策の重要性についても言及した。
新型コロナウイルスに対する施策としては、ワクチン接種の計画が注目の的となった。市は4月からの高齢者への接種を見据えて、準備を進めており、医師会との協力が鍵を握る。「今後も積極的な情報発信に努め、接種に対する不安を和らげたい」と市長は述べた。
さらに、議論ではデジタル化の進展にも触れられた。市長は「誰一人取り残さないデジタル戦略都市・金沢」を目指し、行政のデジタル化が市民サービスの向上に寄与することを期待しているとした。また、オープンデータの取り組みも進める考えを示した。
高齢者施策や福祉政策については、個別支援の強化が求められ、令和4年に向けて、より充実した制度を検討していく意向が示された。ワクチン接種や感染症対策を進める中で、今後の高齢者に対する支援策を明確にしていく必要があるだろう。
そのほか、金沢歌劇座の建設に関する検討や、ガス・発電事業の譲渡を進める新しい企業に対する期待とともに、市民に対する説明責任についても多くの議員から意見が交わされた。先行きが不透明な中、市民の理解とともに、持続可能な財政運営を図っていくことが求められている。
市長は今後、これらの課題に対して粘り強く取り組む意向を表明し、議会との協調を図りながら進める考えだと述べた。