令和5年9月14日に開催された古河市議会の定例会では、主に市民の健康と安全に関連する問題について議論が行われた。
市議会において、まず佐藤稔議員ががんの予防による経済的負担の軽減策について言及した。日本人の2人に1人ががんになる現状を踏まえ、がんの予防が経済的負担の軽減に貢献する可能性について、具体的な数字を示しながら説明した。国立がん研究センターの調査によれば、年間約2兆8,600億円の経済的負担のうち、1兆円が予防可能ながんであり、適切な予防策を講じることで医療費を含めた負担を約3分の1削減できるという。佐藤議員は、市民への啓発活動をさらに強化する必要があるとの見解を示し、特にピロリ菌の除去やワクチン接種の普及に向けた取り組みを求めた。
次に、自殺に関する対策も重要な課題として取り上げられた。自殺総合対策大綱の最新の改定によれば、特に女性や若者に対する自殺予防策が求められている。市ではすでに心の体温計というメンタルチェックシステムを導入しており、自殺のサインを専門機関に繋ぐための講座も実施している。福祉部長の安田隆行氏は、特に女性の自殺が増加している現状を踏まえ、今後さらに支援を強化する意向を示した。
最後に、AEDを迅速に現場に届ける運搬支援システム「AED GO」の導入についても議論された。このシステムは、心停止が発生した際に、ボランティアが早くAEDを現場に届けることを目的としている。市内におけるAED設置数は120か所であるが、実際の使用率はわずか4%にとどまっていることが報告され、利用率を向上させるための方策について議会でも意見が交わされた。
市長の針谷力氏は、これらの取り組みを進めるために関係機関との協力が必要であることを強調し、地域の健康づくりと自殺防止のための施策をより一層推進する方針を示した。市民の健康、特にメンタルヘルスの重要性が改めて確認され、今後の施策が期待されるところである。