令和5年6月27日、加東市議会は第113回定例会を開催し、複数の重要議案が審議された。
この日のメイン議題の一つである第36号議案では、加東市自家用有償旅客運送条例の一部改正が提案され、全会一致で可決された。総務文教常任委員会委員長の藤尾潔氏は、硬直的な規制を緩和し、幅広い市民が利用しやすい形を模索していると報告した。この改正により、特定の条件を設けず、誰でも乗車可能な旅客運送が実施される方向性が示された。
また、第38号議案である加東市いじめ問題調査委員会条例制定に関しても全会一致での可決が見られた。藤尾氏によれば、教育委員会の第一義的な責任のもと、関係機関からの独立した調査を行う体制が整う見込みだという。これにより、児童の安全がより確保されると期待されている。
さらに、第39号議案では、加東市委員会に関する報酬等の改正が提案され、討論なく可決された。これは、委員会の透明性と職務の適切性向上を目的としており、「子どもにとって良い形での教育環境を整える」との強い意志が議員らから見られた。
請願第5-1号、インボイス制度実施延期を求める意見書を政府に提出することについては、最終的に賛成少数で不採択となった。紹介議員の説明は、制度導入で中小企業への厳しい負担を懸念し、実施延期を求めるものであったが、議員の中には経済専門の見解から制度を支持する意見もあった。
請願第5-2号では、「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」が提案されたが、こちらも賛成少数で不採択となった。議会では、労働者の生活向上を訴える声がある一方で、地方自治体としての権限範囲や中小企業への影響が問題視され、複雑な議論が重ねられた。
また、令和5年度一般会計補正予算や特別職の職員給与に関する条例改正、旧東条西小学校校舎の整備工事、新たな消防車両の購入議案なども審議され、いずれも原案通り可決されている。この一連の審議を通じて、地域の発展と安全対策に向けた市議会の役割が強調された。