呉市議会の定例会では、さまざまな課題が重要視され、多くの議員が活発な意見交換を行った。
特に、渡辺一照議員は社会情勢の変化に伴う市民生活への影響について詳細に言及した。広島県は最近、都道府県別の人口流出でワースト1位となるなど、厳しい状況に直面しており、呉市も例外ではない。人口減少が進行しており、2050年には呉市の人口が約13万人にまで減少すると予測されている。この背景には高齢化や子供の出生数の減少が影響を及ぼしており、早急な対応策が求められている。その中で、呉市では妊娠・出産・子育て支援を強化していると新原芳明市長は述べ、医療費助成制度の拡大や体調不良児への対応など具体的な施策を進めている。
また、女性の社会進出や家族形態の変化についても議論が交わされた。制度の縦割りによる支援の課題を指摘し、よりスムーズな支援体制の構築を求める声が上がった。こども部長の是貞聡志氏は、国が掲げるこども未来戦略に基づき、呉市でも支援の充実を図る必要があると強調した。
さらに、高齢者の生活実態に関する質問も出た。独居高齢者の問題や、住宅確保要配慮者へのセーフティーネットの構築についての対策が求められた。市は、高齢者支援に向けた新たな取組として、地域包括支援センターの充実や民生委員の見守り活動を強化していると回答した。
水道管の老朽化も重要な課題として取り上げられた。福田伸雄技術部長は、漏水調査の進展を報告し、新技術を活用した漏水調査の導入が進められることを説明した。特に、AIによる分析技術の導入により調査の効率化が図られ、コスト削減にもつながることが期待されている。また、他の自治体における先進的な取組の情報も収集し、参考にしていく考えを示した。
包括外部監査に関しては、大森和雄総務部長から監査結果に基づく市の対応策が明らかにされ、指摘事項は逐次是正されているとのこと。ただし、未措置の指摘が残ることに対しては、迅速な対応が今後の課題であるとの認識が示された。
北川一清議員は、地方創生が呉市の大きな課題であるとし、人口減少に打ち勝つための魅力的な地域づくりの必要性を訴えた。また、行政組織の再編に関する提案もなされ、浜松市の事例を参考にして、呉市としてもサービスの質を維持しつつ、行政機能の見直しが急務だと述べた。
最後に、教育のデジタル化(DX)についても言及され、タブレット端末の活用率が高まりつつあることが報告された。教育部は、働き方改革の観点から、教職員の業務負担を軽減するための取り組みを進めており、特にデジタル教科書の導入が進展していることを強調した。