令和6年3月4日に行われた大牟田市議会の定例会では、複数の重要な議題が取り上げられた。
初めに、桑原 誠議員はイノベーションによる企業の生産性向上について質疑を行い、様々な施策の重要性を指摘した。
昨今の経済情勢を踏まえて、特に台湾半導体企業TSMCの開所が地域経済に与える影響について言及された。これに対し、産業経済部長の吉田 尚幸氏は、ハローワーク大牟田の有効求人倍率が1.28倍であることを述べ、企業の人材確保の厳しさを強調した。具体的には、土木職での求人数が4.76倍に達する一方、IT関連職の有効求人倍率が0.34倍である点を指摘し、職業間のミスマッチ解消が急務であると述べた。
次に、ゼロカーボンシティとGXについての議論も活発に行われた。これに関し、環境部長の伊豫 英樹氏は、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を設定していると報告した。具体的な数値目標として、国が示す46%削減を目指していることが確認された。また、エコ家電の普及といった地道な施策が進められていることも強調された。
さらに、公共交通の維持についても見解が共有された。市内の路線バスについては、依然として需要が回復していないことが指摘された。都市整備部副部長の谷本 卓也氏は、近年減少が続く利用者数を踏まえ、イベントやキャンペーンを通じて利用促進を図る必要性について言及した。それに関連して、過去に行った定林寺アジサイ祭りなどのイベントで、実際に利用者が増加した例も紹介された。
また、認知症・フレイル予防に関する施策についても質問が寄せられ、地域のサロン活動などによって地域の高齢者の結びつきが強化されている事例が挙げられた。福祉支援室長の松鳥 哲也氏は、地域での支援体制が重要であり、ケアの質を継続的に高めていく必要があると述べた。
最後に、行政のデジタル化、いわゆる「行政DX」にも触れられ、福祉行政においてもオンライン化が進んでいることが確認された。特に、介護保険のオンライン申請システムの導入が今後の混雑解消に寄与するとして期待が寄せられた。
これらの議論を通じて、大牟田市が直面する複雑な課題に対し、各部門が連携しながら効率的な解決策を模索していく姿勢が感じられた。特に、イノベーション推進や環境施策、公共交通の維持は市の発展において不可欠な要素であると言えそうだ。