令和3年6月15日の能代市議会定例会では、農業振興策や新型コロナウイルス感染症対策に関する議論が行われ、特に米価の下落対策、圃場整備事業などが焦点となった。
農業振興策に関し、小林秀彦議員は米価下落対策としての取り組みについて問いかけた。市長の齊藤滋宣氏は、米価の下落を受けて、各農家における転作状況を把握するとともに、約48ヘクタールの飼料用米の作付けを確保することに成功したと述べた。また、米価を下げないためにも、交付金の増額や外米輸入の削減について国や県に要望する方針を示した。
加えて、圃場整備事業についても意見が交わされた。小林議員は、能代山本管内では圃場整備率が最下位であることを懸念し、農業法人への農地の集積や野菜の集出荷場の整備について提言した。市長は、圃場の再整備に関して、国の助成事業の枠組みを活用しつつ、地元農業者の要望にも応えていく方針を示した。
さらに、移動期日前投票所の開設に関する提案もなされ、市長は今後の選挙管理委員会による検討を約束した。教育費や医療費の助成についても議論が行われ、高校生世代までの医療費無料化を求める声が上がった。市長は、現時点では無償化を実施する考えはないが、継続的に検討していく意思を示した。
また、洋上風力発電に関しては、発生した騒音への市民からの苦情も増えていることが報告され、市長は今後、事業者への配慮と工事時間帯の見直しを求める意向を表明した。この問題は市民の健康や生活に直結する重大なものであり、地域との調和を図る必要性を訴えた。
議会では、中国木材株式会社の進出についても言及され、地元木材業界への影響を懸念する声や、求人の増加に伴う人材競争への対策が求められた。市長は、地元企業との共存共栄を重視し、具体的な支援策の検討を約した。今後、能代市における持続可能な発展に向けて、多様な施策の推進が期待されている。