令和2年度定例会11月議会が、墨田区議会議事堂で開催された。
出席議員31名の中で、墨田オンブズマンである大瀬康介議員が一般質問を行い、東向島五丁目のマンション建設計画について住民とのトラブルを指摘した。このプロジェクトでは、業者が近隣住民の意見を一切聞かず、一方的に計画を進める姿勢が問題視された。大瀬議員は「住民の声に耳を傾けない姿勢は行政としてどうなのか」と区長に問いかけた。(
区長の山本亨氏は、建築主等に対して良好な近隣関係を維持する義務があるとしつつも、条例の見直しには消極的な姿勢を示した。特に、「条例の中で住民の意向を反映させることは難しい」と述べ、区としては事業者に誠意を持って対応するよう求めるに留まった。
さらに、大瀬議員は、区内にある著名な企業が他区に本社を移転している現状について論じ、特にライオン株式会社の移転を例に挙げた。「移転を阻止する手立てが必要」と指摘したが、区長は「移転は企業の経営判断」と述べ、逃げ道を設けているようにも聞こえた。この過程で、企業との良好な関係を維持することの重要性が強調されたが、具体策については議論の余地が残る。
また、たきざわ正宜議員は旅館業法と建築基準法の関係を指摘し、近年の住宅の旅館業への転用に際して建築基準法が遵守されていない危険性を訴えた。区長は関連する制度の改善に言及したが、具体的な進展を示すまでには至らず、課題の残る状態といえる。
最後に、大瀬議員が提案した新生活様式対応支援事業の継続については、感染症対策として商店への支援が評価されていることが挙げられた。区はこの事業を引き続き推進し、感染症対策を強化する意向を示したが、度重なる制度の見直しや住宅地への影響をどう考えるかが重要な課題となることだろう。区議会は、今後も地域の声を反映した施策を模索し続ける必要がある。