令和6年6月12日、練馬区議会は第2回定例会を開催した。議題の中で、生活保護や保育制度に関する質疑が多く見られ、区民生活への影響が議論に上った。
特に生活保護について、のむら説議員(日本共産党練馬区議団)は、現在の物価高騰と実質賃金の減少が区民生活に深刻な影響を及ぼしていると指摘した。2023年度の毎月勤労統計調査によれば、労働者の実質賃金は前年度比2.2%減少しており、多くの区民が生活にゆとりがなくなっている現状を強調した。さらに、生活保護制度の捕捉率が低く、保護を必要とする世帯が救済されていない懸念を示した。これに対し、前川燿男区長は、国や地方の施策として改善を示唆した。
続いて、保育問題も取り上げられた。この日、保育園に入園できなかった子どもたちが571人に上ることが報告され、特に1・2歳児クラスでの入園希望者増加が問題視された。議会では、保育施設の不足が指摘され、今後の施策に更なる改善が求められた。これについて、堀和夫教育長は、待機児童ゼロを達成したが依然として課題が存在し、各保育事業所との連携を強化する姿勢を見せた。
また、市販薬のオーバードーズ問題についても議論が行われた。近年、特に若年層における市販薬の乱用が増えているとのこと。練馬区では、青少年の薬物乱用防止活動が行われているが、効果的な啓発活動の強化が求められている。教育振興部長の報告によれば、薬物乱用防止教室を通じて、子どもたちへの対策を講じているが、さらなる効果を狙う必要がある。
さらに、介護報酬の引下げが介護職に与える影響も話題となった。介護士の人手不足が深刻な事態にある現在、引下げが続くことは直ちに取り返しのつかない事態につながる恐れがある。福祉部長は、国に対し介護報酬の改善を求めていく考えを述べた。
加えて、学校トイレへの生理用ナプキン設置の取り組みについても言及があり、性教育の充実が求められる中で、必要な施策の早急な実行が必要とされている。その背景には、女子生徒の声を尊重した取組の重要性が浮き彫りになった。
最後に、区が小池都知事への立候補要請を行った件についても質疑があり、一部区民からは不適切との声が挙がった。前川区長は、自らの信念に基づいた行動であることを説明し、これらの施策の先を見据えた議論が続いたことが印象的であった。