令和3年度定例会11月議会では、墨田区内の各種問題に対する議論が交わされた。
特に注目を集めたのは、歩道橋の安全性や撤去に関する提案だ。田中哲議員(地域連合すみだの絆)は、事故が増加する中で、南部地域でもマンション建設が進んでいる点を指摘し、陥没事故のリスクを考慮した事前対策を求めた。
「最近、東京都内で道路が陥没する事故が発生しています。これに対し、区ではどう対応しているのか」と述べ、具体的な調査及び補修作業を打ち出した。
これに対して、山本亨区長は、「新たなマンション等の建設工事に伴う陥没事故の報告はありませんが、軽微なものが年間約5件発生している状況です」と応じた。また、危険な空洞に関する調査を5年ごとに行っている実績を説明し、事故発生時の対応手順があることも強調した。これにより、事前対策の必要性と実施状況について共通認識が深められた。
さらに、議会ではジェンダー平等についても白熱した議論が展開された。あさの清美議員(日本共産党)は、コロナ禍で女性が直面している差別や課題を挙げ、特に賃金格差といった労働環境に焦点を当てた。彼女は、「女性の賃金格差は生涯賃金で1億円もの差がある。企業に男女別平均賃金の公表を義務化すべきだ」と力説した。
これに対し、山本区長は、「職場での男女平等を進めるため、区としても様々な取組を行っています。今後も企業と連携を取りながら、啓発を続けていきます」と話し、改善に向けた協力体制を強調した。
また、歩道橋の撤去に関する質問も出た。田中議員は、交通事故を回避するための施策として歩道橋の撤去を提案した。安全性確認と同時に、そもそも歩道橋利用者数の調査も行われていると述べ、「必要な場合は国に働きかけていく」と区長の見解を求めた。
山本区長は、歩道橋の点検結果について、「安全性は確保されていますが、バリアフリー対応が重要である」と現状を説明しつつも、「地域のニーズに応えなら、今後の街づくりの中で議論を重ねていきます」と理解を求める姿勢を示した。
今回の議会では、住民の安全や福祉に直結する多くの事案について、真剣な議論が行われ、今後の政策に反映されることが期待されている。