令和3年度の墨田区議会定例会が開催された。主に、教育と保育の充実に関する議論が行われ、特に保育料の問題が浮き彫りになった。
大瀬康介議員は、墨田区の保育料が23区内で最も高いとの指摘をし、具体的な数値を示すことで問題意識を訴えた。調査によると、世帯年収471万円から640万円未満の家庭では、保育料が約32,500円と高い水準で、最安の渋谷区との差は2万7,000円に及ぶという。
この状況に対し、山本亨区長は、高額な保育料設定の理由について、近隣区と比較して運営を持続可能に維持する必要性があったと説明。さらに、受益者負担の視点や、他の子育て世帯との公平性を考慮しつつも、保育料の適正化を進める考えを示した。また、保育料無償化の適用を受ける世帯が約6割に達していることも言及し、その状況で直ぐの減額は難しいとした。
次に、無形資産の創造を含む人材育成に関連して、教育長の加藤裕之氏は、非認知能力の重要性を強調し、子どもたちが持つ才能を引き出すための基礎を育む取り組みが必要である旨を述べた。今後も充実した幼児教育・保育の提供が求められるが、併せて保護者目線での育成方針も検討されるべきとの考えも示された。
また、区立幼稚園の利用者減少問題が取り上げられ、多胎児家庭や共働き世帯への配慮不足についても議論が行われた。特に、保護者が求める延長保育の充実や共働き世帯向けのサービス向上が必要とされ、区長に質問が投げかけられた。山本区長は、今後も保護者のニーズに沿った施策を検討していく意向を示している。
さらに、大瀬議員は、育成環境の確保について言及し、特に子育てが可能なまちとしての墨田区の特徴を強調。若い家庭層を取り込むための方策が必要で、その結果、教育機関においても良い影響を与える可能性があると述べた。これに対し区長は、持続可能な子育て支援施策を意識しつつ、地域全体での支援体制構築を目指す姿勢を表明した。