渋谷区では、令和3年第3回定例会を通じて多岐にわたる議題が取り上げられた。
注目されたのは新型コロナウイルス感染症対策である。長谷部健区長は、デルタ株感染の影響で新規陽性者数が増加している現状を説明した。区では感染防止に向けた情報発信を強化し、自宅療養者の健康管理を行う体制を整備すると述べた。現時点でのワクチン接種率は高齢者で80%、全体で60%に達しており、今後はさらなる接種推進を目指す意向を示した。
東京2020大会についても触れ、長谷部区長は区が進めてきたパラスポーツの普及と文化の推進が、今後のまちづくりに生かされるべきだと強調した。大会を通じて実感された多様性と調和の意義を、地域のスポーツ振興に反映させる考えが示された。
ハロウィーンの安全対策についても重要な議題として挙げられた。今年は続くコロナ禍を鑑み、路上飲酒禁止区域の拡大や、警察との連携を強化し、区民や来街者の安全確保に努める予定である。
また、子育て支援に関する施策も進行中だ。子育てクーポン制度の導入が提案され、区長は国の助成制度拡大に呼応し、包括的な支援を目指すとした。加えて、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツの重要性が指摘され、早期の妊活に向けた正しい知識の普及が求められた。
高齢者福祉に関しても、新たなデジタル技術の導入や、地域のつながり強化を図る施策が必要とされ、区長は今後の検討に前向きな姿勢を示した。消費者としての高齢者のニーズに応えられる体制づくりが求められている。
さらに、性教育や標準服に関する多様性への配慮も指摘され、学校教育における柔軟な対応が必要であるとの認識が示された。これに関連し、部活動の改革についても、新たに設立される一般社団法人が重要な役割を果たすことが期待されている。通信環境を整えた上で、子どもたちが安心して参加できる部活動を推進していく考えが語られた。
このように、渋谷区議会では新型コロナウイルスの影響を受けつつ、子育てや教育、文化、福祉における多様で包括的な施策を展開していく姿勢が見られた。今後の進展が注目される。