令和5年11月29日に行われた渋谷区議会の定例会では、複数の重要な議題が取り上げられた。
特に注目されたのは、代々木山谷小学校における教育環境の改善問題である。この小学校の在校生数は501人に上り、明らかに過密状態であると指摘された。
「旧代々木小学校の校舎を分校舎として活用すべきだ」と、堀切稔仁議員は提案したが、長谷部健区長は「児童数の増加に対応するため、既に改修工事を完了しており、分校舎の新設は考えていない」と述べた。
次に、教育委員会からの新しい授業方針として、「シブヤ未来科」の実施が話題に上がった。
シブヤ未来科は、児童が主体的に学ぶ教育モデルを目指しているが、保護者からは「教科の授業時間が1割減ることが心配」との声も上がっている。堀切議員は、この新方針について保護者が納得できる情報提供を求めた。
五十嵐俊子教育長は、「より理解が深まる授業にするために努力している」と強調したが、保護者との対話が必要であるとの意見も多い。
さらに、福祉政策と給付制度についても議論が交わされた。堀切議員は、物価上昇が続く中で、特に子育て世代への支援を強化すべきではないかと訴えた。
「一定年収以下の全区民へ給付金を出すべきだ」と述べたが、区長は「都内に住む18歳までの子で月額5000円を支給する施策があるため、区独自の給付金を支給する考えはない」と答えた。
また、玉川上水旧水路の緑道再整備計画に関しては、地域住民の影響を考慮し、情報公開を徹底する必要性が強調された。堀切議員は、このプロジェクトに伴う樹木の伐採などについて疑問を投げかけ、透明性の確保を求めた。区長は「問題を未然に防ぎ、住民の声を聞く姿勢を持つ」と発言したが、具体性を欠くとの批判もあった。
全体を通じて、教育や福祉施策に関する質問が多く飛び交った。議会の質疑が進む中で、区民の声がどのように反映されるのか、今後の施策に期待がかかる。区政に対する透明性が求められる中、住民との信頼関係構築が急務である。