令和3年1月の全員協議会では、渋谷区の当初予算原案が発表され、緊迫した財政状況が強調された。
区長の長谷部 健氏は、コロナ禍における経済の影響を考慮し、予算編成の必要性を述べた。特に、昨年末に発出された緊急事態宣言が区に与えている影響について言及した。
「国を挙げた対策には限界があり、今後の感染者数の減少が見込まれるかは不透明」と長谷部区長が語り、区民の安全・安心を最優先に考慮した施策を強調した。さらに、当初予算額が994億1,529万1,000円で、前年度比で5.5%の減を見込んでいることも明らかにした。
新型コロナウイルスによる影響を受ける中、特別区民税の減収が見込まれており、財政調整基金の活用が重要になるとの見解も示された。アフターコロナを見越し、地域社会の利便性を保つための取り組みを引き続き強化する必要があるとした。
この予算案では、特に子育て・教育に関する施策が注目される。渋谷区における子育て支援施設の開設や、教育ICTの推進が具体的な計画として挙げられた。区では全児童・生徒に対しオンライン授業を推進し、テクノロジーの導入による学びの環境整備を進める方針を示している。
福祉分野においても、特に高齢者へのデジタルデバイド解消に向け、大規模な支援プログラムを行う考えである。高齢者へのスマートフォン操作の支援や、デジタル機器の無償貸与についての具体的な実施計画も発表された。
次に、財政状況についての報告があった。財務部長の佐藤 哲人氏が、都区財政調整について詳細を説明するとともに、交付金が前年度比で341億円減少する見込みであることを明らかにした。この厳しい状況が今後の予算編成に影響する可能性があることが懸念されている。
「都との協議を通じて必要な支援を引き出す考え」と佐藤氏は述べ、予算案に対する意見や要望についても議員らからの意見を求める姿勢を示した。これまでの取り組みを踏襲しつつ、新たな施策の実施に向けて区民の理解を得るための努力が必要であると強調された。
以上の内容を踏まえ、議会は次回の会議において詳細な討議を行う予定である。今後の進展に注目が集まる。