このほど、令和6年2月に開催された渋谷区議会定例会において、重要な人権関連の議案が可決された。特に、「渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例」が目を引く内容であり、以降の議案に大きな影響を与えている。
まず、「渋谷区多様性を認め合う社会を推進する条例」について、総務委員会委員長の中村豪志氏は、条例が渋谷区の基本構想を踏まえた概念条例であることを強調した。さまざまな人の個性が認められる社会を創造するために、この条例は必要不可欠であると述べ、全会一致での可決を報告した。
さらに、同じく中村氏が議題とした「渋谷男女平等・ダイバーシティセンター条例の一部を改正する条例」でも、全員一致での可決が伝えられた。この条例改正は、包括的な人権条例への改正に伴うものであり、女性や性的少数者の権利を拡充することを目的としている。
続いて、「渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例」についての議論も行われた。中村氏によると、条文では外国人や障がい者の人権についても言及し、ヘイトスピーチの禁止やカミングアウトの強要も明記されている。この点が評価され、賛成意見が多かったが、反対意見も存在した。9番の矢野桂太議員は、条例案が具体性を欠くと指摘し、国の法令との重複を懸念した。彼の発言は、法制度が新たな分断を生む危険性にも触れており、条例の成立がもたらす影響についての真剣な議論が求められている。
次に、審議されたのは「令和5年度渋谷区一般会計補正予算(第9号)」で、高額な補正予算の一部が区民への支援ではなく、都市整備基金に積み増されるという意見に反対が出た。田中正也議員は、物価高騰に対する独自の支援がなければ、区民の生活は守れないと強調した。賛成派は、施策の必要性を認めつつも、代替案を示さないまま賛成している現状に対し、反発の声が上がっている。
本会議の中で、数多くの議案が議論され、特に人権に関連する条例に対する熱心な声が交わされた。この結果、渋谷区はさらなる包括的施策の推進を目指し、全ての区民が社会の一部として包摂されることを期待されている。