令和6年2月22日に渋谷区議会が開催され、高齢者福祉や障がい者福祉の向上についての議論が行われた。
特に、日本共産党の五十嵐千代子議員は、高齢者福祉に関する質問を多角的に展開した。2024年度の国の社会保障関係予算案において、医療・介護の報酬引下げが続いている事実を指摘した。介護保険の負担が増加している一方で、年金が削減され、高齢者の生活が厳しくなる懸念があると強調した。彼女は、長谷部健区長に対し、国に責任ある改善を求めるよう求めた。
また、介護報酬の引下げがもたらす影響についても言及した。訪問介護事業者の倒産が増えている現状を報告し、介護職員の処遇改善が必要であると訴えた。全国ヘルパー協議会の調査結果を基に、人手不足の解消に向けた施策を国に求める必要性が強調された。長谷部区長は、報酬体系について国政での議論に委ねると述べ、国に対してコスト負担を重視するよう要望した。
次に、障がい者福祉について議論が進められた。学校を卒業する障がい者の就労支援に関する実態が指摘され、区としての支援策が問われた。五十嵐議員は、卒業生が通所する場所が不足している現状を説明し、その改善を求めた。長谷部区長は、卒業後の支援に注力する考えを示し、自治体として多様な支援体制の構築が重要であると位置づけた。
議会の質疑では、トイレ環境の整備についても注目を集めた。須田賢議員が女性用トイレの設置方針についての確認を行い、長谷部区長は基本方針がダイバーシティとインクルージョンに基づくものであると説明した。今後のトイレ環境整備においては、利用者の安全が最優先されることを強調した。
さらに、防災に関する議論も行われ、地域住民の防災意識の向上や多様性を考慮した避難所の設備についての考えが示された。佐々木由樹議員は、液体ミルクの備蓄の必要性や、インクルーシブ防災の観点からの避難所運営を提案した。
この議会では、様々な地域課題が議論され、区民の生活環境の向上に向けた政策が提起された。今後の施策実施においては、地域の実情を考えた柔軟な対応が求められそうだ。