令和4年第1回玉野市議会臨時会が1月17日に開催され、重要な議案が審議された。
この臨時会では、市長提出の議案が2つ上程され、特に関心が集まったのが「玉野市渋川野営場条例を廃止する条例」である。議案の説明を担当した産業振興部長の山下浩二氏は、条例廃止の目的について、民間活力による柔軟な整備及び運営の実現を目指すと強調した。
具体的には、現在の渋川野営場は、行政財産ではなく普通財産として民間事業者に貸与されることとなる。既存の施設を活用しつつ、新たに施設整備を行うことで、地域の観光拠点としての価値向上が期待される。しかしながら、質疑の場では、議員からの懸念の声も上がった。
日本共産党市議団の松田達雄氏は、議案第2号に対し疑問を呈した。松田氏は、条例廃止が急ぎすぎで、十分な検討や市民合意が得られていないとの見解を示した。また、事業者側に十分な透明性が無ければ、将来的な地域経済への影響が不透明であるとも言及した。市民の同意を得ずに運営を開始する危険性が指摘され、さらに民間事業者が実施するグランピング事業についても、その収益性や運営管理の具体的な数値が示されていないことから、商業的成功の見込みに疑問が呈された。
また、松田氏は、渋川観光駐車場の料金有料化についても言及。その影響が市民や観光客に及ぶことを憂慮し、市民が快適に利用できるよう配慮する必要があると訴えた。現在、駐車場の料金設定は、市民の負担を重くする可能性があり、本来の観光活動を制約する恐れがある。市民の意見を反映させるための施策が求められている。
一方で、玉野市は観光活性化に力を入れており、グランピング事業によって新たな仕事や雇用の創出も期待されている。しかし収支や雇用についての具体的な情報が不足しているため、議論を深める必要がありそうだ。市民の生活や観光への影響を十分に考慮せずに進めることには、慎重な姿勢が求められる。
このような中、議会では両議案とも採決にかけられ、最終的に可決される結果となった。今後の運営において、地域活性化が実現されることが期待される一方、透明性や市民の合意形成が重要な課題となるであろう。