令和元年6月12日に里庄町議会で開催された会議では、地域の交通事情や高齢者福祉に関する重要な議題が議論された。
この日、特に注目を集めたのは藤井典幸議員による「低料金町内循環バスについて」の提案である。藤井氏は町内に公共交通機関が整っていない現状を指摘し、高齢者や移動に困難を抱える町民のためにバス運行の重要性を強調。具体的には、運転免許証を返納した高齢者が増えている一方で、交通手段の整備が追いついていない現状を憂慮し、手ごろな料金で利用できる町内循環バスの導入を要請した。
また、運転免許証の返納者が低迷していることに対して、岡山県の平均的な自主返納率(約5%)と比較すると、里庄町ではわずか1.5%に過ぎない点が問題視された。このデータから、藤井議員は具体的な対策を講じる必要性を訴えた。特に、高齢者の交通事故の多発や自主返納の問題についても言及し、交通インフラの整備が急務であると述べた。
藤井議員の問題提起に対し、町行政側は地域の交通支援策として、高齢者タクシーチケットの料金助成制度を説明。鈴木達也健康福祉課長は、タクシーチケットの利用増加を図るため、今後の利用条件や対象者の見直しを進めていく必要性があると語った。タクシーチケットの助成が598万円から630万円に増額されたのも、利用を促進するための一環であるとの報告があった。
こうした話の中で、加藤泰久町長は、高齢者外出支援を促進するための新たな施策についても検討していることを示唆。町民が安心して移動できるための交通整備が不可欠であり、今後も交通インフラの充実に向けた取り組みを進める意思を表明した。
さらに地域の活性化についても議論が交わされ、小寺大輔教育委員会事務局長が「さとしょう未来塾」について言及。地元企業との連携や参加者の増加を通じて地域愛を育み、里庄町の魅力を再発見し活性化につなげる重要な取り組みが進行中であることを報告した。地域の歴史や文化に光を当てる事業の重要性も再確認され、今後の課題として期待されている。
この日の議会は、交通環境の整備と地域活性化に向けた対話がなされ、住民の声を反映した有意義な議論を展開した内容であった。