令和4年10月6日に行われた井原市議会定例会では、中学校の運動部活動の地域移行に関する議論が展開された。
まず、地域移行はスポーツ庁の提言に基づくものである。提言においては運動部活動を民間や地域スポーツクラブに移行することが求められており、これに伴う課題や対応策が議員から指摘された。
質問を行ったのは西村慎次郎議員で、中学校の運動部活動の地域移行の具体的な内容について、5つのポイントから質問を行った。まず、伊藤祐二郎教育長は、地域移行の提言内容について説明し、生徒のスポーツ体験及び教員の負担軽減が狙いと述べた。具体的には、休日の運動部活動を令和5年度から段階的に地域に移行し、令和7年度末を目途に完了させる計画であるとした。
次に、現状の部活動についても言及された。伊藤教育長は市内の中学校に設置されている運動部活動の種類や、指導する教員の専門性について詳述した。生徒数の減少や教員の指導負担の問題も浮き彫りになり、特に団体競技においては合同チームでの活動が進められている例を挙げた。
地域移行に伴い、メリットとデメリットについても言及された。教育長は「教員の負担が軽減されることは大きなメリットであり、活動人数が増えることで練習の効果が向上すると考えられます」としつつ、「地域スポーツ団体への加入料や保険料が新たな経済的負担となる可能性がある」と懸念を示した。
課題として、教育長は「生徒の受け皿を確保することが最も重要で、地域の指導者の協力が不可欠」と語り、今後様々な協議を進めていく意向を示した。特に送迎に関する問題や、経済的負担の軽減に向けた取り組みが求められる。
また、本市では「地域移行に関する協議会」を設立し、スポーツ協会や学校などと連携して運営していく予定であると説明した。具体的な取り組みとして、運動部活動の現状把握や必要な指導者の確保にも着手することが求められる。
不登校児童生徒への支援や精神障害者向けの施策に関する議論もあり、さらに進めるべき課題の洗い出しが重要であるとの意見も確認された。市議会は今後も、運動部活動の地域移行を含む教育環境の整備に注力していく方針である。