令和4年10月の井原市議会定例会において、現市長の大舌勲氏が市の財政運営の適正化について言及した。市議会では、山下憲雄議員が財政状況についての質問を行い、特に過去5年間の実質単年度収支の赤字が続いていることや、基金の減少の理由、市民への情報発信の重要性について、議論が展開された。
山下議員は、実質単年度収支が4年連続赤字を記録していることに懸念を示し、徴税基盤が厳しくなる一方で社会福祉のニーズが高まっていることを指摘した。さらに、財政調整基金が大幅に減少し、今後の対応策についても質問を重ねた。
市長は、過去の決算カードをもとに、赤字が続く要因として一時的な財政調整基金の取り崩しを挙げた。一方で、今後の土地分譲収入によって、財政調整基金の回復が期待されると見込んでいる。また、基金の目的別の適切な運用についても言及し、地域ニーズへの対応を重視する考えを示した。
次に、山下議員から教育施策についても質問があり、特別会計や市債の現在高が増加している中での教育の質の確保が求められた。市長は、地域との連携を重視し、地域に根ざした教育施策を推進する意向を表明しつつ、学校の形態についても考慮が必要であると述べた。
議会ではまた、市民への情報発信の重要性や、自治会との連携を通じて市民の理解を深める取り組みが求められた。市長は、広報手法の多様化や、自治会との対話を重視し、市民が納得できる形での情報提供に努めることを約束した。
このように、井原市議会は、深刻な財政状況を直視しつつ、市民との信頼関係を築くための道筋を模索している。現在の財政危機の克服には、各施策の見直しとともに、地域住民の意見を反映させながら持続可能な運営を進めていく覚悟を市長が表明したことが、多くの議員の賛同を得られるのか注目される。