令和元年9月の大町市議会定例会では、市政に対する一般質問が行われ、議員らが地域の重要課題について活発に意見を交わした。
最初の質問に立った傳刀健議員は、耕作放棄地の現状と農地の権利移転について取り上げた。長野県農政部のデータによれば、県内の耕作放棄地の面積は全農地の約19.4%。大町市はこの問題に取り組む必要があると訴えた。産業観光部長の駒澤晃氏は、耕作放棄地の現状について、大町市では約36ヘクタールであり、全体面積の1.2%にとどまると説明した。また、農地法③の改正によって農地の権利移転がスムーズになったことを述べ、新規就農者の増加を報告した。
次に、山本みゆき議員は、鳥獣被害について質問。猿やイノシシによる作物被害が増加する現状を説明し、特に猿に対する効果的な対策を求めた。産業観光部長は、猿の捕獲や追い払い協力員の活動を紹介した。さらに、大町市の猿の生息数は700~900頭と推定しており、国の支援を受けた対策に取り組むことが重要であると強調した。また、電気柵の設置など被害防止策についても言及した。
大竹真千子議員は、コンパクトシティに向けた取り組みについて発言し、具体的な施策の進捗報告を求めた。市長は、信濃大町駅周辺を中心に商業施設を誘導する計画を示し、地域内での移住促進を強化する方針を述べた。さらに、公共施設の維持管理についても、長期的視点から取り組むことが不可欠であるとし、今後は市全体を見渡した施策が必要だと訴えた。
宮田一男議員は、災害に対する備えとして防災対策の重要性を強調。高瀬川の樹木の繁茂が豪雨時の危機を招く恐れがあることを指摘し、県と連携した対策を求めた。また、消防団の重要性を訴え、団員確保を進めるための施策に理解を求めた。市の取り組みや民間企業の協力も重要であるとし、消防団活動の充実を図る必要性について述べた。
太陽光発電に関しては、設置が進む中での景観への影響を懸念する声が強まり、その規制を求める意見が相次いだ。市は、新たな条例制定を検討していることを示し、市民からの合意形成が重要であるとの考えを示した。最後に、いずれの議題においても、市民一人一人の合意形成が重要であり、透明性のある行政運営が求められるとの点が議員より強調され、全体的にシビルミニマリズムの必要性が相次いで述べられる結果となった。