令和元年12月6日、長野市議会では台風19号によって引き起こされた大規模災害に関する議題が議論された。災害による人的被害は2名、そのほかにも92名の負傷者が確認されている。浸水面積は1,541ヘクタール、5,086世帯、12,485人に及び、家屋への被害も甚大で、全壊824戸、大規模半壊275戸、半壊1,190戸、一部損壊1,573戸が報告された。このような非常事態の中、住民からは迅速で透明な情報発信が求められている。
三井経光議員(新友会)は、災害後の復旧に向けて市長及び職員の対応を評価しつつも、今後長野市の復興策において重要なのは、被災者本人の声に寄り添った支援の提供と、コミュニティの再建であると強調した。特に、経済的打撃を受けた中小企業に対する支援の充実が必要であると訴えた。具体的には、国と県の様々な補助制度を活用するための体制構築や、民間資源を強化することも提言した。このような意見には、加藤久雄市長も真摯に耳を傾けた。
その一方で、避難所や公民館の運営に関しては、避難者数が急増する中で対応可能な職員が不足していたことが明らかになった。松井英雄議員は、避難所における食事提供が1食に制限されたことを指摘し、避難所の運営体制及び情報届け方の改善を求めた。
また、今回は、避難勧告や避難指示の発令が、国や県からの情報が遅れる中で、市民にとって適切ではなかったとの意見も出た。特に、早期移動を促す避難指示の重要性が再認識されている。市側は、今後の見直しとして、ハザードマップなどの情報伝達をより効果的に行う方針を示した。
さらに、被災者登録制度を整備し、生活基盤の支援を検討することや、仮設住宅の整備が急務であるとの意見も多く寄せられた。環境部門は、今後の災害廃棄物処理について、生活環境への影響をできるだけ少なくしつつ、早期処理を目指す方針を示した。
加藤市長は、災害復興局の設置により、復旧・復興に向けた取り組みが本格化していることを強調し、今後の財政運営についても審査機関を通じた透明性を確保すると約束した。行政全体で一体となり、長野市の復興に向けた取り組みが求められる。